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Writer's pictureMichiko Akao

コンドルは飛んでいく

荘村清志さんは、お父様に指導を受け、ナルシソ・イエペスに認められてスペインへ渡り、テレビでもギター教室をなさって、日本のクラシックギター界を牽引してこられた方だ。三善晃作曲「花骨牌」は、荘村さんの委嘱作品で、笛とギターの為の曲。岐阜で初演。公演に呼んで頂き、お父様にもお会いした。サントリーホールのリサイタルには、武満さんもいらしていた。「武満さんが、笛のことしか褒めていなかった」とそれだけ伝えて下さる優しい方だ。最近では古武士の風情。



Photo by Don Woods


「音楽の旅はるか」という番組で、ペルーに行った。リマでは天野さんの博物館に立ち寄った。人骨の、笛らしきものが無造作に箱に並べてあった。興味津々で見ていると触って良いと言われたので、吹いて見た。土ほこりのようなものが舞って、音が出たかどうか覚えていない。ガラスケースの中にはコンドルの骨の小さな笛が飾ってあり、それも手に取らせて下さった。吹いて見ると甲高い音でヒューと鳴った。すると奥から小柄な年配の方がニコニコしながら近づいてこられた。私はいたずらを見咎められたような気がして下を向いたが、笛の音をお聞きになって嬉しくて出ていらしたのだった。聞けばご自身でアンデス文明の遺品を収集され、博術館を作られたのだとか。立派だ。




















リマからマチュピチュへ向かった。アマゾンの暗い河を見ながら、あそこにピラニアがいるのだと想像して恐ろしかった。今はどの位時間がかかるのかわからないが、当時は長時間の電車の旅だった。ディレクターの岩佐さん、カメラの津村さんは高山病でひどい頭痛。私は嬉しくて笛を吹いていた。同じ撮影で、4000メートルほどのところにある、チチカカ湖へも行ったが、そこでは歩きながら笛を吹いた。平気なふりをしていたが、心臓はバクバク、倒れそうだった。







雨上がりのマチュピチュ。谷の底から雲が湧いてくる。見ると上空にはコンドル。アンデス文明に敬意を払って「コンドルは飛んでゆく」を演奏した。




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