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Writer's pictureMichiko Akao

墓獅子

念願の墓獅子を見ることができた。


8月14日15日、八戸市鮫町、浮木寺の鮫神楽。墓獅子のことは、間宮芳生さんの本で知った。吹枝之会で獅子を舞う本田由美子さんに、墓獅子の話をしていたところ、8月9-11日に東京両国のシアターΧで、「海村」という柾谷伸夫一人芝居があり、そこで墓獅子があると教えてくれた。11日には、回向院で墓獅子の奉納があるという。芝居は墓獅子から始まり、時代の移り変わりや、人々の暮らし、憤りが語られる。


ちょうど永六輔さんのラジオ番組がYouTubeにあがり、1980年の「われら人間コンサート」で盛岡へ行ったことが思い出された。盛岡のわんこそば東屋さんのご主人馬場勝彦さん。福祉活動に力を入れていらした。岩手県民会館大ホールでは、永六輔さん、坂本九さん、中村八大さん、伊奈かっぺいさんと同じステージ。客席前列にはベッドのままのお客様。聴覚障がいのあるお客様は、笛演奏にも丸山さんの手話がついた。手話がなくてもわかると言って頂いたことが嬉しかった。初めて見た車椅子バスケットボールの試合では、その激しさにびっくりした。


2011年3月11日震災後の夏、福島から双葉、いわき市へ車を走らせた。今回は青森から、太平洋沿いに海岸線の様子を見ながら八戸に入りたいと思ったが、あいにくの台風。安全策を取り、高速で八戸へ。


浮木寺で神楽連中の到着を待つ。送り火が燃え盛る墓前にやおら獅子がぬかづいた。歌が始まり囃子に連れて、獅子が動き出す。死者となった獅子は、湯呑み、花、柄杓を手に取り、やがて顔を覆って、肩を振るわせ泣く。最後には弥陀の浄土に送られていく。汗だくの若者は、すぐに次の墓の炎の前にぬかづいて、獅子となる。この日は何番も続き、背中を小刻みに震わせながら神懸かりしていくさまは、祈る家族にとって有難いものに違いない。


供養が果たされる様を見て、大切に守り続けてこられたことに頭が下がる。


今でも獅子と音が体に居座り、私の命に力を与えてくれている。ここに導かれた。


笛が好きだ。





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