レパートリーも無い中で、作品を委嘱し、即興演奏、雅楽、寿獅子で、初めての横笛独奏会を開催した1977年の第一回。今回は「天空の蛇」「水炎伝説」、雅楽、能楽、江戸囃子、自作の赤壁賦。まだ演奏できる曲はあるし作曲もできる。半世紀続けてきた賜物か。
今回のプログラムは、笛の代表的な古典、雅楽・能楽・江戸囃子の曲を中心に、日本の芸能の根源としての翁の波動を表現しようとするものです。笛一管にこだわってきたのは、自分の息が翁の波動と一体化するためであったかと思います。
プログラムノート2024年 赤尾三千子
1977年5月20日の第一回「横笛赤尾三千子の世界」での寿獅子の演奏に、2024年10月23日、25日の「横笛赤尾三千子の世界 翁」からの獅子舞画像をのせた。
寿獅子
演奏: 太鼓 若山胤雄
鉦 仙波清彦
笛 赤尾三千子
第一回「横笛赤尾三千子の世界」 1977年5月20日青山タワーホール
獅子舞は、日本各地にみられ、その歴史は古い。
伎楽、舞楽、散楽などにもみられ、やがて祭事に組み込まれ、年を経るに従って各種の変化をとげ、悪魔を祓いながら諸国をめぐり歩いた。これは太神楽と呼ばれ、伊勢や尾張が最も盛んであった。江戸の獅子舞ももちろんこの影響を強く受けた。獅子舞は曲芸的要素の強いいわゆる太神楽師のものと、祭囃子の系統のものとに大別される。今回演奏するのは後者のものである。祭囃子は五人で演奏されるが、獅子では、篠笛と鉦、太鼓に桶胴(これを一人で打つ)の三人で演奏する。桶胴は獅子舞には欠かせない楽器であり、通り神楽のドンドンという音に正月の初春らしい気分がうかがえる。曲は祭囃子のものを早間で打つのだが、里神楽系統のものも取り入れられている。今回は演奏のみだが、勇壮な獅子、これがみかんにジャレ、やがて寝て、御幣と鈴をもった天狐の舞、大黒天が宝をさずけ、モドキとオカメが観世縫(こより)で獅子の鼻の穴をくすぐる可笑しみ、最後に獅子が起きて舞おさめる様を想像しながらお聞きいただきたい。プログラムノート1977年 若山胤雄
Blog cover image: 石井希代子
Flyer design and photography: Kione Kochi
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